これまでのコラムで、一般的な棒針編みのとじ方を解説してきました。では、帽子など筒状の場合、終わり方はどうなっているの?と疑問がわいてくるかもしれません。
このコラムでは、よく使われる編み地の止め方である「しぼり止め」の解説を詳しくしています。
編み物の伏せ止めの1つ「しぼり止め」とは?
帽子や手袋の指先など、筒状のものをひとまとめに閉じるときに「しぼり止め」を使います。
しぼり止めには、主に”一重”にしぼる止め方と、”二重”にしぼる止め方があります。
手袋の先など、編み地の最後の段の目数が少ないときは、全ての目に糸を通して最後に糸を引いて「一重のしぼり止め」にします。
一方ニット帽など、編み地の最後の目数が多いときは、ひと目おきに糸を通し2周してから糸をひく「二重のしぼり止め」をします。
しぼり止めのやり方(編み方)
一重のしぼり止め(一周)
最後の段の目数が少ないときは、一重のしぼり止めにします。
1. 20cmから30cmくらい残した糸端をとじ針に通します。
2.とじ針ですべての目を拾います。
目を拾うときは、左の棒針からとじ針へ糸を移します。編み目がねじれないように方向に注意して移しましょう。
3.最後の目が拾い終わるまで同様に続けます。
すべての目が拾い終わりました。
5.穴が閉じるまで糸を優しく引き締めます。
強く引っ張りすぎると、毛糸が切れてしまうこともあるので要注意です。
6.頂点の穴から糸を裏側に通します。
7.編み目に糸をくぐらせ、編み地の裏側で糸始末をします。
8.一重のしぼり止めができました。
二重のしぼり止め(二周)
最後の段の目数が多いときは、二重(二周)のしぼり止めにします。
1. 20cmから30cmくらい残した糸端をとじ針に通します。
2.とじ針でひと目おきに目を拾います。この時、棒針は2周目が拾い終わるまで抜きません。
目を拾うときは、左の棒針からとじ針へ糸を移します。編み目がねじれないように方向に注意して移しましょう。
2.次の目は、ひと目をとばして拾います。
同様に最後の目まで続けます。
3.2周目を拾います。1周目で拾わなかった目を拾います。
最後まで、ひと目おきに目を拾います。
4.二重に糸が拾えました。
5.糸を引き絞ります。
二重のしぼり止めでは、いきなり糸を引いてしまうと、2周目に通した糸しか引けません!(中心は穴が開いたままになります。)
はじめに少しだけ糸を引いて、1周目の糸の終わりを確認してください。その地点から、1周目に通した糸を引くようにします。
やさしく糸端を引いてみると、1周目の取っ掛かりが見つかります。
少しずつ引いてみましょう。
中心がしぼられてきました。
残りの糸を引くように、2周目に通した糸を引きしめます。
きれいに頂点が閉じました!
6.一重のしぼり止めと同様に、中心の穴から編み地の裏側へ糸を通します。
7. 閉じ針を編み目にくぐらせ、編み地の裏側で糸始末をします。
二重のしぼり止めが完成しました!
しぼり止めの最後は?糸始末の方法
しぼり止めの最後の糸始末は、編み地の裏側でします。
糸をくぐらせてきた編み目に裏からとじ針を通し、ぐるっと1周糸を通します。こうすることで中心が緩んで広がらないようにします。
ウールは繊維が絡まりやすいので解けにくいですが、コットンなどの滑りやすい場合は気持ち多めに糸をくぐらせておくと安心です。
裏側からも1周することで、よりしっかりとしたとじ目になります。とはいえ、グルグルと何周もしてしまうと、編み地が厚くなってしまうので、あまりおすすめしません。
「一重のしぼり止め」も「二重のしぼり止め」も糸始末のやり方は同じです。あまった糸は適当な長さでカットします。
しぼり止めを上手に行うコツ
しぼり止めは、とじ針を使って糸を通します。
編んできた方向と同じ向きに編み目を拾います。糸を移すときは、目の向きがねじれないように、すべて同じ方向になるようにとじ針に拾います。
また、ひっぱる時の力が強すぎると糸が切れてしまうこともあるため注意しましょう。
二重でしぼり止めをした場合、1周目に拾った編み目を2周目に拾った編み目が隠してくれます。
まとめ
しぼり止めは編み地の先端で、とても地味な部分ですが、目を拾う時の方向や力加減に少し気をつけるだけで、キレイに仕上がります。
目立たない部分にこそ、きちんと注意をはらうと、作品の美しさにつながりますよ!