前回に引き続き、編み物のゲージのお話です。
今回は、「自分で編んだゲージが合わない!」というときに、計算でゲージを合わせる方法をお伝えします。
編み図には必ず「ゲージ」が表記されています。ゲージは、これから編む作品の大きさを測る手助けをしてくれる大切なものなのですが、初心者さんはいまいち必要性がわからないかもしれません。ここではゲージとは何か?どうやって編むのか?[…]
編み物でゲージが合わないときの調整方法
前回の記事でもご紹介した通り、ゲージが合わないときは、基本的には針の太さを変えることで調整が可能です。
わたしは比較的、針をたくさん所有しているため、ゲージ調整は針の太さを変えることで済ませています。
ただ、初心者の方ほど手持ちの道具が少ないため、『編み針を1号太く、または細く…』と言われても、「そんなに針を持ってないよ!」と、戸惑ってしまうかもしれません。
そんなとき、針の太さを変えずに、希望の目数と段数を計算で割り出してゲージを調整する方法もあるんです。
計算で目数段数を割り出す方法
ゲージが合わないとき編み針を変えずに、必要な目数を計算して割り出す方法をご紹介します。
太さの異なる針を持っていないときはもちろん、本に記載されている指定糸を使わず、編みたい毛糸を使用するときにゲージ計算を知っていると便利です。
計算式はとってもシンプルです。
A × 自分の10cmの目数(段数) = 必要な目数(段数)
例えば、私のゲージが10cmで18目の場合、幅が50cmのマフラーを編むとすると、
50 ÷ 10 = 5
5 × 18 = 90
私の必要目数は90目ということがわかります。
数字が割り切れないとき
上記の例は、きっちりと割り切れる数になりましたが、割り切れない数になった場合、繰り上げるのか繰り下げるのか、悩ましい点ですね。
基本は、編みたい模様のひと模様分の目数が偶数なら、偶数に。奇数なら奇数になるように繰り上げ・繰り下げをしましょう。
ゲージの計算が面倒なときにオススメのツール
自分で計算するのが苦手な方は、ゲージ計算のサイトやアプリを利用すると良いですね!
■ 編み物のゲージから目数や段数を計算 – 高精度計算サイト
日常生活のいろいろな計算ができる便利なWEBサイトです。時計や電卓を扱うCASIOが運営しています。
自分のゲージ情報と、編みたいアイテムの寸法を入力すると、自動で必要な目数段数が算出できます。
■ニット電卓(スマホアプリ)
App Store / Google Play
ハマナカが出しているスマホアプリです。面倒な割り出し計算はもちろん、計算後の編み図も表示してもらえる便利機能付き!
ゲージの縦が合わない・横が合わない!どう調整する?
ゲージを編んで見ると、「縦だけ合わない(段数)」「横だけ合わない(目数)」ということが起こります。
目数と段数を指定のゲージ通り完璧にきっちり合わるのは、実は、多くの人にとってすごく難しいことなのです…。
わたしは基本的に目数でゲージを合わせます。
横幅(目数)を変えるより、着丈(段数)を編みながら調整する方が簡単だからです。
もし、ゲージの横だけ合わない場合は、先ほどご紹介した計算方法で調整をしてみてくださいね。
ゲージ調整にこだわるより、まず編んでみて
目数と段数を両方をきっちり合わせるのは、本当に難しいことなんです。
その人の手加減によって、編み目の癖はそれぞれです。
どうしても指定ゲージぴったりに合わせたい場合は、練習して自分の手加減をならしていくほかありません。
ゲージを合わせることにつまづいてしまうより、とりあえず編んでみて欲しいなと思います。
ちなみに、デザインやパターン選びにもコツがあります。
セーターの場合、裾から首回りに向かって編んでいくタイプのデザインが多いですが、首回りから裾へ向かって編んでいく”トップダウン”という編み方があります。
トップダウンのパターンは、着丈を確認しながら編みやすく、初心者の方にもおすすめですよ!
模様編みの場合、ゲージはどうする?
アランのニットなど、模様あみを編む場合、ゲージをどうするのか。
プロの方は、模様ごとにゲージを取っているそうです。
模様によってキツくなったり、緩くなったり、ゲージが変わってしまう場合があるからだそうです。
全部それそれ編むことが面倒だなと思う場合は、一つだけ好きな模様を編んでみてはいかがでしょう?
模様あみのゲージは、模様の区切りに合わせてゲージを取ってみると練習にもなり、おすすめです。
模様編みのゲージが合わないときの対処法
模様編みは、それぞれの模様で目数と段数が納まるようにデザインが決まっているため、計算で合わせることが難しいです。(最大公約数、最小公倍数の世界です…。)
模様編みでゲージが指定と合わない場合、一番シンプルな方法は、棒針の太さを変えることです。
メリヤス編みの場合と同じく、自分の編んだゲージが本よりもきつい場合(目数が多い)は、棒針を太くします。
また、反対にゆるくなってしまった場合(目数が少ない)は、棒針を細くします。
ちなみにわたしは、模様編みのゲージが、お手本のものと目数が半目〜1目、段数が半段〜1段程度の違いなら、気にせずに編んでいます。
(わたしの場合、編み上がった後の水通し後に編み地がゆったりし、ゲージの多少の違いに影響がないからです。)
2目、2段以上の違いがある時は、あみ針の太さを変えて対処しています。
ゴム編みのゲージについて
ゴム編みのゲージは、とらなくても良いと思います。(本にも掲載されていないことが多いです。)
ゴム編み部分は、セーターの襟ぐり、袖口、裾部分など、どうしても伸びやすい箇所が多いです。
そのため、わたしはしっかりと緩まないように注意しながら編んでいます。
キツく編むのが苦手な方は、指定号数より1号くらい細い編み針を使っても良いでしょう。
編み地(編み目)を一定にするためのヒント
編み物を最後まできれいに仕上げるコツは、自分のゲージ(編み目)が初めから終わりまで安定していることです。
せっかく苦労してゲージの計算をしても、編んでいるうちにゲージが変わってしまっては、イメージ通りのサイズに仕上がらないかもしれません。
イメージ通りのサイズに仕上げるために、編み物好きのわたしの母は、出来上がり作品の実物大型紙を作っていました。編んでいる途中で作品を型紙に当ててみて、サイズに違いが出ていないか確かめていました。
型紙を作らないとしても、はじめにとったゲージを手元に置いておいて、ときどき比べてみるといいですね。
もし編んでいる途中で、ゲージと違いが出てきたら、次の段で毛糸の引き具合を調整するなど対処することができます。
編み物になれないうちはゲージが狂いやすいので、編み目の目安になるものが手元にあると安心ですし、一定の編み目を作りやすくなりますよ!
編み物は慣れも大切!たくさん編んで自分の編み方の癖を知ろう
繰り返し同じ毛糸を使えば、わざわざゲージを取らなくても、前の作品からどの編み針が最適か、見当がつきやすくなります。
わたし自身、たくさん編んで、手を抜いて良いところ・気を引き締めるところが、少しずつわかってきました。
そしてお手本通りに編まなくても、好きなように変えていい自由さも、編み物の醍醐味です。
(お手本とゲージが違ったとしても、ゲージから出来上がりサイズを計算して自分に合うならOKということですね!)
多少の根気がいる編み物ですが、「失敗しても、ただ解けばいいだけ!」と、気楽に構えてみてはどうでしょう。
ちょっと遠回りしても、やり直せば、またすぐにスタートできます。
そして、編めば編むほど上達するのは間違いないですよ!
ゲージ調整だけじゃなく、編むアイテムの完成イメージができるかどうかも重要
ゲージにこだわりすぎず、どんな表情の作品を作りたいか、イメージを持つことも大事ではないでしょうか。
フワッとした感じにしたいのか、キッチリ編み目を出していきたいのかなど、作るアイテムによってイメージが異なると思います。
ちなみにウエアの場合、編み目が緩いと伸びやすくなるので要注意。また小物の場合はしっかりした編み目で編んだ方が、きれいな仕上がりになるかなと思います。
手持ちのお気に入りのセーターやベストなどを参考にして、これから編みたい作品のサイズ感や、編み目の雰囲気をイメージしてみましょう。
「どんな風に編もうかな?」と、いつも気にかけていると、編み方の視点が変わっておもしろいですよ。
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