「商品写真の撮影が苦手。」
「どう撮ったらいいかわからない。」
「自分にはセンスがないから…。」
など、ハンドメイド作品の写真撮影にお困りの人、いませんか?
プロのカメラマンじゃなくても、学校やワークショップなどで撮影技術を学んでいなくても、ポイントさえわかれば、きれいな商品写真を撮ることは可能です。
大切なのは「細部への気遣い」!
なんとなくきれいで、おしゃれっぽい写真を撮るのではなく、「売れる」「伝わる」写真を撮るコツを、数多くの商品写真を撮影してきた方にじっくりと教えてもらいました。
「ハンドメイド作品を上手に撮りたい」「おしゃれに撮りたいけどセンスがない…」「もはや何が正解かわからない!」などなど、ハンドメイド作品の写真撮影に悩むハンドメイド作家さんへ!前回のコラム「ハンドメイド作品の写真撮影のコツ([…]
ハンドメイド販売で、商品写真は売り上げに影響する!
ハンドメイド作家さんにとって、商品写真はかなり重要!
購入者はまず写真を見て「かわいい!」「いいかも!」と思い、商品ページに訪れます。
つまり、ハンドメイド作品の魅力がきちんと伝わる写真を載せないと、ページを見てくれさえしないのです。
せっかくきれいな作品を作っても、写真が暗い、ピントが合っていない、背景がごちゃごちゃ…など、残念な写真を掲載するのはもったいないですよ!
商品撮影には、じっくり時間をかけるだけの価値があるので、「センスがない」とあきらめないで、カメラ初心者さんも頑張ってみましょう。
ハンドメイド作家として、手作り品の販売をしてみたい!という人に向けて、前後編に分けて「ハンドメイド販売」について特集しています。後編は、みんなが気になる「お金」にまつわるあれこれを探っていきます!「ハンドメイド販売って、実[…]
ハンドメイド作品を、上手に撮影する方法
ここからは商品撮影に詳しい方に、具体的なアドバイスを聞いていきます!
ぼくは写真撮影はアプリに頼りっぱなしで…。かんたんに真似できる、ハンドメイド撮影のポイントを教えてほしいです!
撮影テクを教えてくれたのは、生地通販ショップ「nunocoto fabric」の小宮さん。
ディレクターでありながら、物撮りカメラマンとしてショップ内の商品撮影も行っています。
普段は一眼レフカメラで撮影をしているそうですが、今回はiPhoneなどのスマホで撮影するときのポイントを教えてもらいました!
- 自然光にこだわるべし!
- 撮影背景にこだわるべし!
- レフ版で光と影をコントロールすべし!
- 撮影前の準備に時間をかけるべし!
- 白飛びに注意すべし!
- iPhoneなどスマホで商品撮影するなら、俯瞰にすべし!
- 余白を十分にとるべし!
- 1枚で欲張らない!商品写真のバリエーションで伝えるべし!
照明・夜の撮影はダメ?自然光にこだわるべし!
部屋の明かりはすべて消して、窓際で撮影するのがオススメです。
時間帯は午前中がいいと思いますよ。
雨の日は撮っちゃうときもありますけど、やっぱり暗いです。
部屋の照明を消して、ただでさえ薄暗いのに、カーテンもつけるんですか?
カーテンがないときは、薄手の布やトレーシングペーパーなどでもいいですよ。
ってスタッフによく言われます(笑)
ハンドメイド作品がきれいに映る!撮影背景にこだわるべし!
フローリングの上にアイテムを置くよりも、きれいに撮れますよ。
漆喰は質感がダイレクトに伝わると思うので。
見えにくいですし、なんだか単調になっちゃうので。
ちなみに、大きな合板なんて置く場所がとれないよ!ってときは、小さなベニヤ板とか、あるいは紙に漆喰を塗るのでも良いと思います。
やっぱりちゃんと塗った方がきれいだと思いますよ。
ちなみに、撮影用の背景紙ってものも市販されてると思いますが、あれを使ってもいいですか?
そうですね!ちっちゃいものなら背景紙がオススメです。
色は、白が間違いないと思いますね。
koshirau編集部でも作り方解説の写真や動画では、エレコムの撮影背景紙を使用しています。
A3サイズのマットな厚紙が数色入っていて、1,500円程度でしたよ。
固い板の場合と、ふわふわした布の場合で、ちょっと表情がかわってきますよね。
身の回りのお洋服を使って、布として背景にしちゃうんですね。
ここは値段が高くても素材の良いものを選ぶといいかな、と思いますよ。例えば、リネンとかね。
レフ版で光と影をコントロールすべし!
これはレフ版です!
光を反射させて、影を調整します。
このレフ版は少し前傾に、斜めになっているんです。
窓からきた光を、アイテムに反射させる感じで。
ほんのちょっとの差ですけどね。
レフ版があるのと、ないのでは、影の具合がかわります。
全体が均一に明るくなるので。
ちなみにこのレフ版は、手作りですか?
手作りです。ホームセンターなどで買える、スチレンボードですね。
四方にレフ版があるような「撮影キット(※)」とかも売ってるので、買っちゃってもいいと思いますよ。
撮影キット・撮影ボックスとは?
箱型にレフ版が組み立てられた撮影アイテム。撮影用ライトが付いているものも多く、明るくきれいな商品撮影ができます。
値段はピンキリで、安いものなら2,000円程度。2万円ほどする高性能タイプもあります。
ちなみにレフ版を作ったり、買ったりするまでもないかなって人は、小物撮影くらいならただの紙がレフ版代わりになります。
あとはスケッチブックは開いて立たせやすいので、レフ版の代わりにおすすめです。
カメラ初心者ほど、撮影前の準備に時間をかけるべし!
基本的には撮った後の加工はほとんどしないので、光の調整とかに時間をかけています!
よし撮るぞ!ってなっても、「これでいいのか!?」って、じーっとしつこいくらいに確認しますね。
準備が9割!みたいな。
そうですね~。
光の調整のほかにも、たとえばハンカチ撮ろうってなったときに、だいたいシワがすごいじゃないですか。
これをそのまま撮影するのはNGです。
畳んで撮るものであっても、必ずアイロンはかけておく。
きれいになったところを、畳みなおしてから撮るってくらい気を遣いたいですね。
あとはガムテープでぺたぺたして、ほこりを取るとか。白いものはとくにね。
ハンドメイド品だと、糸が飛び出たりもするから、ハサミで切ってきれいに整えて。
カメラの素人さんであるほど、細部まですっごい気にした方がいいと思います。
気にしすぎかなってくらいじっくりと見て、どう撮ったら素敵に見えるかを考えて、とにかく時間をかけてみてください。
iPhone標準カメラアプリで十分!白飛びに注意すべし!
どんなカメラアプリを使っているんですか?
iPhoneにもとから入っている、標準のカメラアプリで撮影します。
おしゃれなフィルター加工がかかる、カメラアプリを使っているのかと…。
撮った後に加工するなら、Photoshopとかでやったほうがいいので。
撮影する段階では、白飛びしないように気を付ければいいかなと思ってます。
そうそう。カメラ側ではあんまり露出を上げ下げしない方がいいです。
その分時間をかけて、カーテンやレフ版で、しっかりと光の調整をしています。
iPhoneなどスマホで商品撮影するなら、俯瞰にすべし!
アングルは俯瞰で、比率はスクエア(ましかく)がオススメです。
斜めから撮るとか、被写体の向こうにぼんやり何かを写り込ませるとか、構図を考え出すと結構テクニックがいるのかなと思います。
あれこれやるくらいなら、迷ったら俯瞰!っていう。
一眼レフカメラなどを持ってない、カメラ初心者さんほど俯瞰撮影がオススメですね!
そうそう!
とくに斜めから撮ると、距離感がおかしくなっちゃいがちなので注意が必要です。
向こうの方がちっちゃくなって、手前はすごく大きく映っちゃうので。
本当に伝えたかったことが、アングルのせいで伝わらなかったらもったいないですよね。
カメラを始めたばかりの作家さんは、迷ったら真上から!と覚えておくと良いと思いますよ。
スクエア(ましかく)をオススメする理由は?
小物はスクエアが撮りやすいんです!俯瞰との相性がいいし。
横長だと意外と範囲が広いから、余計なものが入ってきちゃったりするんですよね。
これから写真頑張ろう!と思っている人には、まずはスクエアから撮り慣れていくのがいいと思いますよ。
ハンドメイド撮影は、余白を十分にとるべし!
あとは、あんまり被写体に寄らないことも大切にしています。
余白を残した方が、あとあとスタイリングしやすいし、大人っぽい雰囲気になる。
例えばサイズが小さなアイテムでも、画面いっぱいにドドーンと撮ると、大きさが伝わらないし、かわいくないですよね。
引くときは余白をだいじに。ぽつん、と感があったほうが、かわいいとおもいます!
1枚で欲張らない!商品写真のバリエーションで伝えるべし!
どんな写真を撮影したらいいでしょうか?
商品全体が写っていたり、縫い目を見せたり、といったバリエーションが必要ですよね。
ただ、1枚の写真でいろいろ言おうとしないのが原則です。
「この写真ではサイズ感がわかってくれればいい」とか、「この写真は裏地の質感を伝えたい」とか。
1枚の写真につき、1つの主題があるっていう感じですね。
サイズも生地の質感も、縫い目の細かさも、デザインも…と、欲張らないで写真を分けなさい!ってことですね。
そうです!
購入者は、商品写真をじっくり観察して、サイズ感やこだわりを汲み取ってくれるわけじゃないんですよね。
伝えたいことがあるなら、いっこずつ丁寧に写真にするのがいいと思いますよ。
撮る瞬間に、「何を言いたいのか」をはっきりさせてからシャッターを切ると、ちゃんと伝わる写真になりますよ。
そうしないと、酷いときはピントがあってないことすらあるので、注意しましょう。
ハンドメイド撮影のコツ おさらい
【1】自然光にこだわるべし!
夜の撮影は避けて、日中(午前中がオススメ!)に太陽の光を使って撮ろう!薄手のカーテンでコントラストの調整を。
【2】撮影背景にこだわるべし!
ごちゃついた背景はNG!板や背景紙などを敷いて、商品を見やすくしよう!白背景に白アイテムは見えにくいので避けて。
【3】レフ版で光と影をコントロールすべし!
レフ版が光を取り込み反射させることで、全体が明るくなり、影の調整ができる。白い紙やスケッチブックでも代用してもOK!
【4】撮影前の準備に時間をかけるべし!
光の具合(明るさ)はちょうどいい?シワはない?糸くずついてない?、など細部まで気を遣おう!
【5】白飛びに注意すべし!
カメラの露出調整は最低限に!とりあえずは、白飛びしないことだけ考えよう。
【6】iPhoneなどスマホで商品撮影するなら、俯瞰にすべし!
斜めからの構図や背景ぼかしは、カメラ初心者には難しい!迷ったら俯瞰×スクエア撮影が間違いなし!
【7】余白を十分にとるべし!
余白のない写真は窮屈で、サイズ感も伝わりにくい。思い切って、ぐっと引いて撮ってみよう!
【8】1枚で欲張らない!商品写真のバリエーションで伝えるべし!
1枚の写真に、1つのテーマを設けよう!サイズも全体像も、ディティールも…、とすべてを1枚で伝えず、写真を分けるのが正解。
どれもちょっとした気遣いをするだけで、きれいな写真が取れることがわかりました!
そうですね。
撮影になれていない人ほど細部まで気にして、対象をじっくり見て、準備を怠らないのが大切です!
ハンドメイド商品をおしゃれに見せるコツなんかも知りたいなあ…。
じゃあ別の機会に、小物を使ったスタイリングの方法もお話ししましょう!
楽しみにしています!
「ハンドメイド作品を上手に撮りたい」「おしゃれに撮りたいけどセンスがない…」「もはや何が正解かわからない!」などなど、ハンドメイド作品の写真撮影に悩むハンドメイド作家さんへ!前回のコラム「ハンドメイド作品の写真撮影のコツ([…]
生地通販ショップ「nunocoto fabric」のディレクター。生地や手作りキット、コンテンツなどの物撮り撮影も行い、カメラマンとしての一面もある。
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