好きな布で、好きなデザインのアイテムを自由に作って楽しむハンドメイド。
個人で楽しむだけじゃなく、ハンドメイド販売でお小遣い稼ぎをする作家さんもたくさんいますよね。
ハンドメイド作家として商品を販売するなら、著作権や商標権など、最低限知っておくべき知識とルールがあります。
何も知らないでハンドメイド販売をすると、思わぬトラブルに巻き込まれたり、最悪の場合、逮捕や裁判沙汰になったり…。大げさかもしれませんが、可能性として無いわけではありません。
このコラムでは、ハンドメイドで気を付けるべき権利について、専門家の先生にお話を聞いてみました。
柴田純一郎先生(米国弁護士、国内弁理士)
著作権とは?
そもそも著作権とはどんなものなのか、簡単に解説します。まず「著作権」は「知的財産権」という権利の1種です。
「知的財産権」とは,知的な創作活動によって何かを創り出した人に対して付与される,「他人に無断で利用されない」といった権利
知的財産権について | 文化庁
(中略)
著作権は,こうした手続きを一切必要とせず,著作物が創られた時点で「自動的」に付与するのが,国際的なルールとされています
すごく簡単に言うと、著作権は、「オリジナルで作ったモノが、他の人にパクられない・盗作されないようにする」ための権利です。
著作権はモノを創作すれば発生する権利なので、申請等は必要ありません。作ったり書いたり、生み出した時点で著作権が発生します。
著作権の対象になるモノ
「じゃあどんなものでも著作権が発生するの?」というと、そうではありません。下記のように定義されています。
(1)「思想又は感情」を表現したものであること
著作物について | 文化庁
→ 単なるデータが除かれます。
(2)思想又は感情を「表現したもの」であること
→ アイデア等が除かれます。
(3)思想又は感情を「創作的」に表現したものであること
→ 他人の作品の単なる模倣が除かれます。
(4)「文芸,学術,美術又は音楽の範囲」に属するものであること
→ 工業製品等が除かれます。
つまり人のパクリ・模範・コピーはダメで、創作性があるもの(作り手の個性があるもの)じゃないと著作物としては認められません。
著作権侵害による罰則
著作権法119条では、著作権法に違反すると10年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金、またその両方が科されるとしています。
<POINT!>
著作権とは、創作性のある作品が盗作されないように守る権利
創作された時点で権利が発生する。思想や感情が表現された作品が対象で、すべてに当てはまるわけではない!
著作権法違反をした場合、罰金や懲役刑の可能性がある。
自分のハンドメイド作品は、著作権で保護される?
ここからは専門家の先生に、もっと詳しい話を聞いていきます!
米国弁護士、日本の弁理士として活躍する先生。外国特許や商標、著作権などエンタメ法を専門にされています。
ハンドメイドの権利について、よくわからないことを詳しく聞いていきます!
たとえば、自分で描いたオリジナルキャラクターをバッグに仕立て上げるなどの場合は、著作権で保護される可能性が高くなります。
一方、一般的な形をしたバッグなどの場合は著作権での保護は難しいかな、というところです。
著作権は思想や感情が現れている、創作的な表現じゃなくてはいけないので、そうでなければ著作権での保護は難しいんです。アートに近いもの、と考えると少しわかりやすいと思います。
ハンドメイドなのにすごく精巧性が高くて、製品として美しいというものであったとしても、「思想や感情」が表現されてないといけないんです。
あとは、型紙についても著作性を持たないものが多いと思います。
型紙が部分的に特徴的なところがあったとしても、著作権法で保護されるようなアーティスティックな要素は持ちにくいと言えます。
<POINT!>
ハンドメイド作品は著作権の保護を受けない
著作権の保護を受けないからと言って、他人のハンドメイド作品をパクって販売するのはやめましょう!
「ほかの人もやってるし」「バレなきゃ平気でしょ」など、安易な考えはNG!
訴えられることはなくても、パクリ作家としてSNSなどで拡散されたり、ハンドメイドアプリでアカウント停止されたりする可能性があります。
「知らなかった」では済まされない!?ハンドメイドの著作権・その他の権利
ハンドメイド作品は著作権法で守られないことが多いですが、だからと言って何をしても構わない!というわけではありません。
著作権のほか、ハンドメイドで注意すべき権利があるので、確認していきましょう!
【商標権】キャラクター、ブランド品のパクリ(模範品)・パロディ
個人的に作って楽しむに過ぎないなら、とくに問題ないかなと思います。
ブランドロゴについては著作権ではなく、商標権の範疇になってくるのかなと思います。
商標権というのはブランドを守る権利で、ロゴをつけて衣類などを売ることを、企業側が独占する権利です。
あくまでも商売として売るのが前提になっているので、個人的に作って楽しむところまでは権利として要求はしてこないということになります。
商用利用が前提なら、問題になります。
キャラクターグッズやブランドロゴを模したグッズを販売するなど、商標権を侵害した場合、10年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金、またその両方が科されます(商標法第79条)。
販売目的で所有していただけでも、 5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またその両方が科されます(商標法第79条の2)。
<POINT!>
キャラクターグッズやブランドロゴなどのパクリは、個人的に楽しむだけ!
自分で楽しむだけなら、ディズニーや漫画キャラクター、ブランドロゴをトレースしてハンドメイドしてもOK!
もちろん販売はNG!違反が認められた場合、懲役刑や罰金が科される。
【商用利用】保育園や幼稚園のバザーなど、小規模の販売もダメ?
厳密にいうと、アウトになります。
ただそこまで権利者のほうが目くじら立ててくるか?というと、現実問題として可能性は高いとは言えません。
<POINT!>
小規模の販売でも、権利違反になる
とはいえ実際は、企業やブランド側が、小さくローカルな販売まで強い対応をしてくることは可能性としては低い。
【肖像権・パブリシティ権・著作権】アイドルや芸能人などの、顔写真アイテム
好きな有名人やアイドルの、顔写真入りうちわやキーホルダーなどを手作りする人も多いですよね。
自分で楽しむだけなら、インターネットで画像をダウンロードして、手作りを楽しんで問題ないでしょうか?
そうですね、おおよそそのように理解していいと思います。
人の写真を使うときに、注意しなければならないことが3つあります。1つは「肖像権」。
人間は誰しも、自分の承諾なくして勝手に写真を撮られない、という権利を持っているんです。
有名人は写真を撮られてることを知らなかった、ということは難しいでしょうし、自分で楽しむ限りでは、問題はなさそうです。
それと、2つ目に注意すべきなのが「パブリシティ権」です。これは有名人にしかない権利なのですが、その人の名前を言うだけで物が売れたり人が集まったりという効果があるんですね。
なので、有名人の写真を使用したハンドメイド品を作るときは、その人の名声を利用して利益を得ようとしていないか?というのが、大きなポイントになります。
そして3つ目が、著作権です。
写真を撮影する場合、被写体のバランスとか光の加減だとかを工夫しながら撮影しますよね。これらの工夫の成果物である写真については、撮影者に著作権が発生し得ます。
写真を使うということは、被写体の権利(肖像権、パブリシティ権)の他、撮影者の著作権にも配慮しなければならないですね。
販売はまずいですね。
パブリシティ権は、芸能人の所属事務所が管理してるんです。事務所としては、パブリシティー権を使って利益を最大化したいと思っているはずなので、知らないところで商品が販売されていると利益を害されてしまいます。
そういう販売行為に対しては、強い対応をとってくる可能性があると考えられます。
撮影者の著作権についても、個人的に楽しむ域を超えていたら同じです。
とはいえ、事務所側・タレント側としても、ファンでいてもらいたいという気持ちもあるので、軽微なもの(売り上げを大幅に侵害するようなものでなければ)、目をつぶるケースも多いかなというところです。
黙認するケースがあるとはいっても、もちろん事務所側・タレント側の反応次第で、いつでも販売をやめなければなりません。
万が一芸能人のグッズを販売して利益を得ていたとしても、安定的な事業性には欠けますね。
<POINT!>
アイドルグッズの手作りも個人で楽しむだけにしよう
有名人の顔写真入りアイテム、アイドルグループのロゴマークなども、個人で楽しむだけならハンドメイドOK!
パブリシティ権や撮影者の著作権の観点から見ても、販売するのはNG!
販売しなければセーフ?ハンドメイドの私的使用について
他人の作品をパクっちゃダメ!と定める著作権ですが、「私的使用のための複製」が認められています。
著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
著作権法(第30条) | e-Gov法令検索
そうですね、それなら個人的利用と言える範囲です。
私的使用について著作権法でよく言われているのが「両手で抱える程度」。2~3人程度という感じですね。
少人数と共有する分には複製をしてもいい、という理解をしていただければと思います。
プレゼントなど、販売しないなら問題ない?
販売さえしなければ何をしても大丈夫…ってことでもなさそうですよね?
例えば、利益を目的としないプレゼントの場合でも、気を付ける必要はありますか?
配布についても、レベル感ですね。
学校中や職場中に配るなど、人数が拡大してくると私的使用とはいえず、目を付けられる可能性は出てくると思います。
<POINT!>
著作権の私的使用の範囲は、極めて少人数
家族や2~3人の友人に作ってあげる程度なら、私的使用の範囲内。
たとえ販売をせず、プレゼントだとしても大人数に配布すれば私的使用の範囲外となる。
ハンドメイド作品のSNSの投稿も要注意!
実は私的利用の範囲に、インスタグラムなどのSNS配信は含まれてないんです。
この場合、私的利用の範疇から外れることになるので、原則どおり著作権が働きます。なので厳密にいうと、SNS投稿も著作権の侵害をしていることになります。
ええー!そうだったんですか!
ハンドメイドしたキャラクターグッズをSNSに投稿して、それがブランドや企業の人に見つかったら、訴えられちゃうとか…?企業側もファンを大切にしたいので、ある程度のとこまではファンサービスとして黙認すると考えられますよ。
ただしキャラクター自体のストーリーと全然合わないような投稿をしていると、何かしらのアクションを起こしてくるかもしれません。
そうですね。見た人が気分を害する、感情を害する可能性があるので、そういうものは特に気を付けたほうがいいのかなと思います。
いずれにせよ企業側の反応次第では、投稿を取下げる必要があることを理解しておいたほうがいいと思います。
<POINT!>
SNS投稿も、厳密には権利侵害にあたる
SNSでの公開は著作権の私的使用には含まれない。トレースして作ったキャラクターグッズの投稿も、厳密に言えば権利違反になる。
ただし悪意ある投稿でなければ、企業・ブランド側は黙認することが多い。
生地・型紙・ハンドメイド本の商用利用
市販の生地や型紙には、商用利用不可のものがあります。
商用利用とは、営利目的で利用すること。商用利用不可の生地・型紙を使ったハンドメイド作品は、販売することが禁止されています。
主にキャラクター生地やデザイナーズファブリックに多いので、注意が必要です。
商用利用ができる生地かどうかは、多くの場合、生地の耳にプリントされています。よくチェックしてから購入しましょう。ネットで購入する際は、販売サイトに問い合わせてください。
なお有名ファブリックブランドの商用利用の可否をまとめた記事が、nunocoto fabricで公開されています。ハンドメイド作家さんは要チェックです!
なおnunocoto fabricの生地は、すべて商用利用可能です!使用にあたって連絡や申請等も必要ありませんので、ハンドメイド作家さんはぜひご活用くださいね。
nunocoto fabric公式通販サイトはこちらから>>
手芸本など、作り方の商用利用
市販の本の中には、以下のような注意書きがあります。
本書に掲載されている作品を無断で複製し販売することは固くお断りいたします。
一生使えるおさいほうの基本|主婦の友社
手芸本のアイテムをそっくりそのまま作って販売するのはやめてくださいね、という意味です。
使用する生地を変えたり、ボタンを付け加えてみたり、といった軽微なアレンジを加えてもNGです。
本を見ないと作れないもの(アート性に近いようなもの)であれば、アウトという可能性はあります。
そうでなければ作り方はアイデアにすぎないので、本を参考にしたアイテムを販売することは法的には問題ないと思います。
ただ、法的には問題ない=トラブルにならないではありません。
著者が出版社やサイト運営者と友好な関係を築いている場合には、彼らの取引に亀裂が入るおそれもありますし、SNSなどで「パクリなのでは?」と騒ぎになることも考えられます。
法ではない要素も、配慮する必要があるでしょうね。
確かに、出来上がりは異なるけど、作り方はほとんど一緒だと、パクったといわれてもしかない気がしますね…。
法律に触れなきゃいいじゃん!という考えはNGですね。
なお作り方を公開している手芸サイトの場合は、それぞれ対応が異なります。
著作権フリーの作り方もあれば、サイト独自の規定を設けている場合もあります。問い合わせてみましょう。
<POINT!>
商用利用ができない生地・型紙・レシピ本に要注意!
商用利用禁止の生地や型紙を利用して作品を作り、販売をしてはならない。
有名ブランドファブリックや、キャラクター生地は商用利用禁止が多いので要チェック。
ハンドメイドはどこからパクリ?どこまで真似ていいの?
自分では「参考」にした程度のつもりでも、原案者からすれば「パクリだ!」と思うこともありますよね。
どこまで真似してよくて、どこからがパクリなんでしょうか…?
正直明確な決まりはないんですよね…。
なんとも言い難いところではあるんですが、例えば、高級ブランド時計のフランクミュラーがありますが、「フランク三浦」というブランド名で、安い時計を販売していた人がいることは知っていますか?
聞いたことあります!時計のデザインも、どことなくフランクミュラーに寄せているやつですよね?
「フランク三浦」が、本家のフランクミュラーに見つかりまして、裁判になったんです。
ところが裁判所の判断は、フランクミュラーと「フランク三浦」は、音は似てるけど明らかにパロディだとわかるから、ブランドの利益を害さないという判断になったんです。
ええ!明らかにパクリだと思ったんですけど…。
例えばブランド品を模したデザインでも、明らかにパロディだとわかる作品であれば、これと同じ判断になる可能性が高いと思います。
とはいえ、そのまんま形状を真似しちゃうのは問題になります。
「参考」と「パクリ」の境目は?
そっくりそのまま真似した作品はダメっていうのは、なんとなくわかるんですが、どこまで参考にしていいのか?ってところが、いまいちわかりません…。
どこまで参考にしていいのか?というと、私たちの業界だと、本質的特徴という言い方をするんです。
本質的特徴というのは、たとえば、AとBとCの要素が揃うと、あの国民的な猫のキャラクターだってみんなが認識しちゃうよね、というポイントのことです。
どの要素(特徴)が、その作品の「らしさ」を醸し出してるんだろう?ということを考えるんです。
特徴が全部揃っちゃうとパクリになっちゃうので、あくまでも参考程度とするなら、外すべき特徴は外しなさい、ということになります。
なるほどー!参考にしたい作品をよく観察して特徴をとらえればいいんですね。それで自分なりのアレンジを加える感じでしょうか。
結構見た目が変わっていないと、アレンジとは言えないんです。
あんまり見た目が変わってなくて、「言われてみれば違いがわかる」程度のアレンジであれば、コピーの範疇になってくるので注意が必要です。
<POINT!>
参考デザインの特徴をすべて真似すれば「パクリ」
参考にしたい作品の特徴(見た目のポイント)をよく観察して、そのすべてを真似すれば「パクリ」、一部のみ取り入れて他はオリジナルデザインならば「参考」の範囲内といえる。
ただし参考とパクリの明確な境目は無いので、判断は難しい。
自分の作品をパクられた・盗作されたときの対処法
ハンドメイド作品は著作権で保護されるのは難しい、ということでしたよね。
ってことは、もし自分の作品がパクられているのを見つけても、泣き寝入りするしかないのでしょうか…?
著作権という意味でいうと保護は難しいです。
ただし、「わたしの作品は独特な形状をしていて、自分しか作ってないし、しかも有名なんです!」っていう場合は、また違う話になってきます。
えっそうなんですか!
不正競争防止法といって、商品の形とか表示とか、他人の物を真似して販売してはいけませんよ、という法律があるんです。
もし他人のハンドメイド作品をマネ作っている人がいるとすると、そっちに抵触する可能性がありますね。
おおー!では最悪、パクリ作家を訴えることも可能ですか?
はい、可能性はあります。
でも不正競争防止法でアクションを起こすなら、それなりの著名性が必要なんです。つまり有名じゃないと難しいんです。
がーん、なるほど…。世間一般に知れ渡ってるくらいの有名作品じゃないと、ハンドメイド作品がパクられても訴えることは難しいんですね。
ハンドメイドでちょこっと販売実績があります、くらいだと、なかなか不正競争防止法で戦うのは難しいかなという感触です。
全国紙や地方紙などで特集されたり、お店のホームページのアクセス数が他サイトと比べて、格段に多かったりすれば主張はできますが、そうでなければ、なかなか難しいところです。
<POINT!>
ハンドメイド作品がパクられても、実際に戦うのは難しい!
趣味の延長でハンドメイド販売をしているくらいの規模感だと、万が一自分の作品のパクリを見つけても、法律で戦って取り下げをさせるのは難しい。
一方で、高い著名性や販売実績があれば、「不正競争防止法」でアクションを起こすことは可能。
SNS・フリマアプリ・フリマサイトの対応
自分の作品を模したハンドメイドアイテムがSNSに投稿されていたり、販売されていたら、どうしたらいいでしょうか?
まず掲載しているサイトの運営会社に連絡するだけでは、解決しない可能性が高いです。
- インスタグラムなどのSNS
- メルカリなどのフリマアプリ
- minnne(ミンネ)やcreema(クリーマ)などハンドメイド販売サイト
これらのサイトではユーザの利用規約が定められており、商標法や著作権法、その他の法令を守って出品するようにという記載があります。
またユーザによる投稿や出品によって何か問題が起きても、運営側は責任を負わないという記載もあります。
弊社は、利用者の言動を管理せず、また(オンライン、オフラインを問わず)利用者の行為や行動、コンテンツ(違法または不適切なコンテンツを含む)に関しても責任を負いません。弊社は、他者や他社が提供したサービスや機能については、たとえ利用者が弊社のサービスを通じてアクセスしたものである場合であっても、その責任を負いません。
利用規約 | Instagramヘルプセンター
会員等が第1項に掲げる禁止事項を行った場合、故意過失を問わず、当該会員が、当該禁止事項により損害を受けた会員等および第三者に対する損害賠償責任を含む、一切の責任を負うこととします。当社は、当該禁止事項により生じる直接的および間接的な損害に関して、一切の責任は負わないものとします。
利用規約 | ハンドメイド通販・販売のCreema
つまり運営側は、法律に違反した作品は出品されていないことを前提をしており、万が一著作権や商標権に触れる商品があったとしても、「規約を破ったユーザが勝手に行ったことだから、責任は負えない」という立場だといえます。
間を取り持って問題解決をしてくれる可能性は低い、と考えましょう。
とはいえサイトに連絡して、違反ユーザーのアカウント停止などの対応を求めることは可能です。
明らかに悪質なパクリ作家を見つけた場合、掲載サイトに相談をしてみるのもいいでしょう。
盗作者に直接連絡する
自分の作品がパクられて、どうしても我慢できない!というときは、盗作者に直接問い合わせてみるのもひとつの手です。
ただし、真っ向から「私の作品をパクったでしょう!」と非難するのはやめましょう。
すでにご説明したとおり、ハンドメイド作品は著作権法で守られないことが多いです。基本的には作り方もアイデアに過ぎないことが多いので、著作権侵害を主張することは難しいのです。
そもそも盗作したつもりがなく、偶然似てしまった可能性もあります。
- 自分もパクリ・盗作をしていない
- 自分しかその作品を作っていないことが明らかである
- 明らかに自分の作品をマネしている
これらに該当する場合は、自分の作品と相手の作品が似ているという事実や、作品の発売日(発表日)が相手より先であったことなどを連絡してみましょう。
盗作をした意識があり、大きなトラブルに発展させたくない人なら、作品の取り下げをしてくれる可能性があるでしょう。
逮捕?訴えられる?著作権法違反の罰則
すでにご紹介しましたが、著作権法違反が認められた場合、 10年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金、またその両方が科されます(刑事的措置)。また、違反行為の停止や損害賠償を命じられることもあります(民事的措置)。
【著作権法違反の実例①(刑事的措置の例)】
人気アニメ・漫画「鬼滅の刃」のキャラクターイラストを無断で複製して作られたグッズの所持・販売により、著作権法・商標法違反の疑いで男性2名が逮捕されました。(令和2年)
【著作権法違反の実例②(民事的措置の例)】
自身が撮影した写真がwebサイトで無断使用されたとして、著作権・著作人格権侵害を訴えた裁判では、webサイトの運営側に31万円以上の損害賠償が命じられました。(令和2(ワ)24035)
著作権侵害や商標権侵害をしてしまったとき
手作りしたキャラクターグッズやブランドグッズの販売をしていた場合、すみやかに販売を中止することをオススメします。
違法だと知らなかったから仕方ない、企業やブランド側にバレなきゃOK!ということではありません。
インスタのDMで1対1でしか販売してない!など、たとえ販売規模が小さくても、権利侵害をしていることは事実です。大きなトラブルに発展する前にやめましょう。
パクリだ!と言われたとき
ほかのハンドメイド作家さんから作品のパクリを疑われた場合、まず事実確認をしましょう。
パクリを自覚しているなら、商品やSNS投稿の取り下げを行い、素直に謝罪をしてトラブル回避を。二度と盗作は行わないことも伝えましょう。
一方、絶対に盗作をしていない!と自信を持って言えるのであれば、根拠とともに相手に伝えましょう。
ただしすでにご紹介したとおり、軽微なアレンジを加えただけでは、コピーやパクリに過ぎません。
自分は参考程度のつもりでも、第三者から見れば同じ作品に見えるような変化であれば、パクリを疑われても仕方ないかもしれません。自分の作品をよく見なおしてみましょう。
ハンドメイドにまつわる著作権 まとめ
ハンドメイド作品には著作権が発生しにくい
著作権が認められるためには「思想や感情」が表現される必要がある。作り方はアイデアに過ぎないので、手作り作品の著作権保護は難しい。著作権がないとはいえ、他人の作品をパクッて販売するのはやめよう。
キャラクターやブランドの模範品は個人で楽しむまで
販売は権利侵害になるのでNG!
著作権の私的使用の範囲
家族や仲良しの友人数人程度ならOK!職場や学校中に配るなどは、私的使用の範囲外。
SNS投稿にも注意が必要
SNS投稿は私的使用の範囲外なので、厳密にいうと著作権侵害になる。実際に企業やブランドが強い措置をとってくる可能性は低いでしょうが、いつでも投稿を取下げる心づもりが必要!
商用利用不可の生地・型紙・手芸本
「商用利用不可」と書いてある生地や型紙で作ったアイテムは販売してはいけない。手芸本も、全く同じアイテムを作って売るのはやめよう。
「参考」と「パクリ」の違い
参考にしたいデザインの特徴をよく捉えて!特徴を全部真似すればパクリ、一部のみ取り入れて他はオリジナルデザインなら参考といえる範囲。
弁護士(米カリフォルニア州)・弁理士(日本)。商標権、著作権、外国特許などエンターテインメント・メディア法を専門に扱う。
※本記事内引用部分の太字表記はkoshirau編集部によるものです
ハンドメイド作家として、手作り品の販売をしてみたい!という人に向けて、前後編に分けて「ハンドメイド販売」について特集しています。後編は、みんなが気になる「お金」にまつわるあれこれを探っていきます!「ハンドメイド販売って、実[…]
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