手芸屋さんで買ってきた生地を、さっそく裁断してハンドメイドするぞー!という方、ちょっと待ってください!
買ってきたばかりの生地は、ゆがみが生じている可能性があります。
そのまま手作りを始めてしまうと、完成品が思った通りのデザインにならず、なんだか変な形になってしまったり、洗濯したらめちゃくちゃ縮んでしまったり…。
生地のゆがみを整え、縮みを抑えるために、手作りを始める前の下準備として「地直し」をしましょう。
布の地直しとは?必要性
地直し(じなおし)とは、生地のゆがみを整えることをいいます。
手芸店などで購入した生地は、よくみると布目が歪んでいたり、カットされた部分が斜めになっていたりしませんか?
ゆがみを整えないまま手作りを始めてしまうと、洗濯すると縮んでしまったり、型崩れしてしまったりします。
完成品のクオリティを上げるためには、地直しはめんどうでも必ず行いましょう。
布の水通しとは?必要性
水通し(みずとおし)とは、洗濯による生地の縮みや色落ちを防ぐために行う、地直しの方法の一つです。
布によって程度は異なりますが、ものによっては5%~10%も小さくなってしまう生地もあります。
買ったままの状態でハンドメイドをして、出来上がったものを洗濯すると、縮みや型崩れがでてしまうのです。
そのため、アイテムを作る前に、あらかじめ生地を収縮させておくのが、水通しを行う理由です。
すべてのアイテムに水通しが必須!というわけではありませんが、お洋服やカーテンなど、洗濯後に縮むと困るものは水通しを行ってから手作りを始めましょう。
布の地直し・水通しの手順
地直しの手順は次の通りです。
- 生地を水に浸し、水通しをする
- 生乾き程度まで乾かす
- アイロンをかける
- 地の目を通す(生地をまっすぐに裁断する)
布が大きくて水通しがしにくい場合は、必要な分を裁断してから行ってもOKです。少し大きめに裁断してくださいね。
また水通しをしない場合は、(3)のアイロンから始めて地直しを行いましょう。
布の水通しのやり方
布地の水通しにはいくつかの方法があります。素材によってベストなやり方を選択しましょう。
1.基本はコレ!水につけておく方法
布を適当な大きさに畳み、洗面器や洗面台などに水を張り、生地をつけ置きします。
水につけておくと色落ちする場合があります。水に色が移っているようなら、水を変えてくださいね。
つけ置き時間は、1時間程度です。
つけ置き時間については、記事後半で詳しく解説しています。
十分に浸水したら軽く絞ります。
雑巾絞りをすると生地がゆがむので、上からプレスするように水を抜くのがオススメです。
布を広げて陰干しをします。完全に乾く前に取り込みましょう。
2.簡単&短時間!霧吹き・スチームアイロンでやる方法
巾着袋やマスク、赤ちゃん用スタイなどの小物づくりで、使用する布が少ないなら、霧吹きやスチームアイロンで水通しをするのが簡単です。
布にまんべんなく霧吹きをして、裏面からアイロンをかけましょう。
またウール素材の場合も、この方法で地直しを行います。
3.洗濯機にかけて脱水する方法
毎日のお洗濯と一緒に水通ししてしまう方法もあります。
とくにカーテンやベッドカバーなど、つけ置きする容器がない場合は、洗濯機で水通しするといいでしょう。
脱水しすぎるとしわくちゃになってしまうので、数十秒程度で取りだすのがおすすめ。
またほかの衣類と絡まると、かえって生地が伸びたりゆがんだりしてしまうので、ネットに入れて行いましょう。
洗濯機から生地を取り出したら、生乾きの状態まで陰干しします。
布の水通しの、つけ置き時間と干し方
目安の水通し時間は下記のとおりですが、生地の量によっても異なります。
使用する生地が多いなら、浸水にも時間がかかります。
- ガーゼ:30分程度
- 綿:1時間程度
- 麻:4~5時間程度
十分に浸水できたら、直射日光の当たらない、風通しのいい場所で干します。
物干し竿にかけて、軽くシワを伸ばして干しましょう。
完全に乾いてしまうとシワになるので、生乾きの状態で取り出し、アイロンをかけて布目を整えます。
水通し後陰干ししたまま忘れてしまい、完全に乾いたまま放置してしまった場合、霧吹きやスチームアイロンで整えればOKです。
簡単!生地の地直しのやり方
水通しをして生地を生乾きの状態にしたら、アイロンで地直しを行います。
水通しをしない場合は、この工程から始めてください。
1.生地にアイロンをかける
まずは布にアイロンをかけて、畳みじわなどを伸ばします。
タテ地・ヨコ地に沿って、ゆがみを整えるようにアイロンがけをしましょう。
水通しをしないで、買ってきたばかりの布にアイロンをかける場合、霧吹きやスチームアイロンで水分を与えながら畳みじわを伸ばしましょう。
きんちゃく袋などの小物やパッチワークなど、少ない面積しか布を使わない場合は、地直しはアイロンだけでOKです。次の行程「地の目を通す」ことはせず、手作りを初めましょう。
2.地の目を通す
手芸屋さんで生地をカットしてもらうとき、布端が斜めになっていることがよくありますよね。
布目の縦横が直角になるようにまっすぐ整えることを「地の目を通す」といいます。
お洋服など大物を作るときは、必須で行うことをオススメします。
生地によってはヨコ糸がスムーズに引き抜けなかったり、すぐに切れてしまうこともあります。
きちんと地の目を通すと、このように布端がまっすぐに整います。
生地の地直し(水通し~地の目を通す)の解説動画
動画でも地直しの方法を解説しています!
水通しができない素材の地直し方法
生地の種類によっては、水につけないほうがいいものもあります。
- シルク(絹)
- レーヨン
- ビロード、コーデュロイなど起毛素材
これらの生地の地直しをする場合、布の裏面からドライアイロンをかけて行います。
シルクやレーヨンは熱に弱いので、あて布をしてからドライアイロンでゆがみを整えましょう。
水通しってめんどくさい!水通し不要な生地やアイテム
しっかり水通しをしようとすると、半日がかりの大仕事!
水通しは面倒くさいし、やらなくてもいいのでは?と思うこともありますよね…。
水通しは必ずしも必要!というわけではありません。
化学繊維(ポリエステル、ナイロンなど)は、水で縮みにくいので、水通し不要です。
それからすでにご紹介したとおり、小物づくりであれば、アイロンで布目を整える程度でOK!
2種以上の異なる素材を使うなら、水通し必須!
小物やバッグなど、洗濯による縮みがあまり気にならないものなら、水通しはしなくてもOKです。
ただし表地と裏地で異なる布を使う場合、布によって収縮率が異なるので、洗濯すると変形したり引きつってしまったりします。
- キルティングとコットンで作るレッスンバッグ
- レースで装飾したガーゼマスク
- ワッフルとコットンのリバーシブルスタイ
など、異なる2種類以上の布を使うときは、水通しをしておいたほうが仕上がりの質があがりますよ。
まとめ
生地の地直し・水通しは、布目のゆがみや縮みを整えるための、大切な下準備です。
洗濯して縮みが気になるものなら水通しは必須。そうでなければ、アイロンで布目をまっすぐに整える程度で構いません。
買ってきたままの生地はそのまま使うのではなく、きちんと地直しを行うことで、作品の作りやすさや仕上がりが変わりますよ。
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